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東北まぐ27号 2013年10月

東北もの作りのこれから「マルトヨ食品」、1万キロの彼方から届く支援のかたち「タープロンドン」、世界が見つめる東北の知恵、豪快!海鮮ぶっかけ丼ほか、東北のいまをお伝えする【東北まぐ!】

2013/10/11 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
東北まぐ
夜の気仙沼湾に入港する、気仙沼大島からのフェリー(宮城県気仙沼市)
はじめに
 本誌創刊時に5回にわたって掲載した「缶闘記」。宮城県石巻市の缶詰め会社「木の屋石巻水産」の震災後の1年を追いかけた連載です。同時に制作された同名の短編ドキュメンタリー映画Cans of Hopeが先月英国のエジンバラで開催された映画祭“EDINDOCS”で招待上映されました。
 映画祭の主催者、スチュアート・マクルネスさんは「日本の震災は、イギリスでも誰もが知っている大きなニュースでした。しかし、そこに暮らしていた人々が、いまどのような状況なのかは、あまり知らされていません。災害は誰にでも降り掛かるもの。だからこそ、多くのイギリス人が震災のその後に関心を寄せています」と、選出の理由を話してくれました。観客の一人、地元の大学生ジュリアンさんは「災害を乗り越えようと、多くの人たちが協力して困難に立ち向かう姿に感動しました。日本の方の行動に、私たちが教わるべき知恵があります。私も日本に行きたくなりました」と語ってくれました。
 東北沿岸では、震災の風化が語られていますが、未だ強い関心を持って震災後の東北を見つめる人々が、世界中にいることを知りました。

 一人でも多くのみなさんが、東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。東北まぐ、第27号をお届け致します。(岸田浩和)
 
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行ってきました東北
 
行ってきました東北
みずから率先して動くのがモットーの清水さん。
試行錯誤を繰り返しながら、新しい道を切り拓いていく。
 
 昨年8月号に掲載した際は、「ようやく工場を再稼働させますよ!」と明るく語ってくれたマルトヨ食品の清水浩司さん。あれから一年を経たいま、みりん干しやさんまの薫製の本格稼働が始まり、新商品の開発も行っています。あらためて感じる震災後のものづくりの現状と、清水さんが感じる「これから」について、お話を伺います。
 
=神戸で気づいた事=
 震災後、マルトヨ食品の再建準備に奔走していた清水さんは、縁あって阪神大震災で大きな被害を受けた神戸市東灘区の岡本商店街を訪問しました。神戸の街を見て「震災の痕跡が全く見当たらず、とにかく街がきれい」と驚きを隠せませんでした。岡本商店街の再興に奔走した当事者たちに、清水さんは自らの将来を投影しながら、震災後19年の道のりを聞いたそうです。
 岡本商店街の店主の一人が語った「あのときは、自分達で情報を発信することが出来なかったから、取材が来るのを待つだけだった。もどかしい思いや、やっておけば良かったと言う事は沢山ある。いまは自分達から発信できる環境がある。この違いは本当に大きい」という言葉を、噛み締めるように聞いたそうです。
 清水さんが震災当時の様子を話しはじめると、「当時の辛い出来事や、悔しい気持ちがこみ上げて来た。」と、涙をこらえきれずにいる店主の姿に驚きを覚えました。清水さんは「町がきれいに再建され、19年の年月が経っても、心の中まで癒えるわけではない」という事に気づかされたと言います。

=「震災復興」という魔法は消えたのか=
 震災から3年を経たいま、東北沿岸のものづくりにも、変化がやって来たようです。
 清水さんの周囲でも「被災地の商品だからといって、応援の気持ちで買ってくれる状況はとっくに終わった」と、嘆く地元製造者の方が少なくありません。ミサンガや復興の文字の入ったTシャツなど、一人でいくつも持つ必要がないものは、確かに売れ行きが落ちているかもしれません。しかし、清水さんはこうした状況を「本来の姿に戻っただけじゃないかな」と冷静に見つめています。
 食品なら味やパッケージを検証し、お土産なら欲しいと思う形やデザインを追求する。「変化する状況に合わせて、自分たちもやり方を見直して行くしかない」と考え、「そこにチャンスがある」と前向きに捉えています。
 
=外へ仕掛けに行く意味=
 神戸の商店街を訪問して以後、積極的に東京や県外の販売会やイベントに出展するようになった清水さん。「東京の販売会で売れる50個や100個と言う数量は、大手流通への売上げに比べれば僅かです。でも、それ以上に得るものは大きい」と断言します。「東北の味付けは塩気が強いので、もっと薄味が良いんじゃないの」という声や、「1人用の小分けパックが欲しい」といった要望など、お客さんとの対話で耳に入って来た言葉が、商品改良や新商品の開発に役立っています。また、Facebookを活用して積極的にお客さんと交流する事で、リピーター率が向上しました。翌月の販売会に、わざわざ友人を連れて足を運んでくれるお客さんもいるそうです。

=地域ブランドの発信とこれから=
 最近、県外の販売会に足を運んでいると、「マルトヨ食品の清水さん」と言うよりも「気仙沼の清水さん」と呼ばれる事が多いと気づいたそうです。「地域ブランドの発信と言うと難しいマーケティングの話に聞こえるが、実際はもっと身近なものだった」と感じています。自分たちが作る商品や会社が、すべて”気仙沼の”という言葉と共に語られていることを知り、単に自社商品を売っているのではなく、気仙沼の看板を背負って商売している意識が芽生えたと言います。「気仙沼で連想される食のイメージは何か?」「この商品を届けたいお客さんは、どんな生活スタイルなのか」。お客さんと近づいた事により見えて来たテーマが、商品開発の原動力となっています。

 「結局は、地元の食文化に根ざしたおいしいものを作って、一人でも多くの人に届ける工夫をするしかないんですね」と笑顔で商品の”さんまくん”を手に取った清水さん。「将来、何年後かに振り返った時に悔いが残らないように、思った事は何でも挑戦してみる。上手く行かなかっても、不思議と必ず新しい道が出てくるんですよ」(岸田浩和)
 
行ってきました東北
さんまの薫製の製造風景
 
行ってきました東北
お客さんからのフィードバックを活かした、新商品の開発にも力を入れている
 
行ってきました東北
総理大臣賞を受賞したさんまの薫製「さんまくん」を、パスタにアレンジ。芳ばしい風味とさっぱりした味わいが、食欲をかき立てる。
 
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Information
マルトヨ食品株式会社
〒988-0007 気仙沼市中みなと町131
0226-22-2058
https://ja-jp.facebook.com/
marutoyo.kesennuma
 

 
 
行ってきました東北
 
行ってきました東北
タープロンドン代表、下濱愛さん。ボランティアパブが開催されるロンドン市内のパブにて。
 
 イギリス在住の日本人有志によって結成された東日本大震災の復興支援グループ「TERP LONDON(タープ・ロンドン)」 。
 現在、3代目の代表を務めるロンドン在住の下濱愛さんをたずね、活動についてお話を伺いました。

 震災直後の2011年3月下旬、ロンドン在住の日本人起業家らが中心となり、中長期的な東北支援の継続を目標に活動がスタートしました。現在は、イギリスを起点に東北支援を行う人たちのプラットフォームとして、重要な役割を果たしています。タープという団体を活用して、多くの人が東北支援に携われるように環境を整えるのが、タープの役割となっています。東北支援のポータルサイトとしてイギリスでは広く知られているWebサイトの運営をはじめ、ニュースレターの発行、ロンドン市内のパブを貸し切って定期開催される「ボランティアパブ」という支援者同士の交流イベントも活動の一環です。

 下濱さんは活動の1年目を「”私たちに出来る事は何でもやってみよう!”というスタンスで、チャリティーコンサートの企画やイベント出展、募金の呼びかけなどアイデアを形にする事に奔走していました」と振り返ります。2年目からは、イギリスで支援活動を行う人たち同士の横の繋がりを構築し、立ち上がった活動が継続する為の素地作りに注力したといいます。3年目を迎えた今年は、東北沿岸部で自立しようと事業を立ち上げた被災地の人々に対し、支援を展開しています。東北沿岸の手仕事による産品をイギリスで販売する為、東北の生産者とイギリス国内に販路を持つ支援者を引き合わせ、販路構築のサポート行っています。さらに、イギリスで販売しやすい色やデザインをリサーチし、東北の生産者に対して直接フィードバックを行うなど、より踏み込んだ関係を築いています。

 去る4月にイギリスで行われたクリケットのチャリティーマッチでは、日本代表とイギリスの名門クラブが対戦。日本チームの観客動員としては、史上最多となる観客が詰めかけたといいます。会場では多くの募金が集まり、気仙沼でクリケット大会を実現させる動きに繋がっています。

 「日本でボランティアやチャリティーというと、手弁当で滅私奉公するイメージがあって、関心はあっても躊躇している人が多いんじゃないでしょうか」という下濱さんは、チャリティー文化が古くから根付くイギリスの良き風習を日本に発信したいと考えています。イギリスでは、ボランティアやチャリティーを「一方の人間が何かを与える行為ではなく”お互いに喜びを分かち合う参加の意識”で捉えている」といいます。

 遥か1万キロの彼方からでも、思いを形にして届ける事が出来ることを示してきたタープの活動。今後の活動は?という問いに下濱さんは「いま必要なことは何かと考え、思いを持った人たちが出来るだけたくさん参加出来る活動を続けて行きたい。」と話してくれました。(岸田浩和)  
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Information
TERP LONDON
http://terp-london.co.uk/
 
今月のお取り寄せ
 
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パッケージは一人前ごとに分かれているので非常に使いやすいです。

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ごはんに乗せるだけで完成! 極上の海鮮丼が楽しめます。
ぶっかけ海鮮丼の具100g×5袋 3360円
  ゴチまぐ!編集部
イチオシの理由は?

 今回は岩手県の大自然が育んだ海の幸「ぶっかけ海鮮丼の具」をご紹介しましょう。入っている具材はいくら、めかぶ、ホタテ、エビ、ホッキ貝の5種類。非常に豪華です。

 試食では冷凍で届いたものを自然解凍し、酢飯ではなく、炊きたてのごはんに乗せて食べてみました。

 まず最初に感じられるのが磯の香り。海の幸そのものを凝縮したような食欲をそそる香りです。甘エビのトロッとした甘み、ホッキ貝のシコシコした食感、いくらのプチプチ感、ホタテの柔らかな食感、それらを刻みめかぶのとろみと塩気の効いたタレが見事に調和させています。

 内容量は100gなので少なく感じるかも知れませんが、具材の味がしっかりしているのでごはん一膳(約140g)にかけても満足感は十分。具が足りなくなることもなく、最後まで海鮮丼を楽しめます。

 もちろん、ごはんに乗せて食べるのが正攻法なんですが、冷たい蕎麦やうどんに乗せても美味しく食べられると感じました。海鮮好きならば是非一度試して欲しい逸品です。
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お問い合わせ
・うまいわいわて
http://item.rakuten.co.jp/
auc-umaiwa-iwate/w-46/
 
 
【東北まぐ】 2013/10/11号 (毎月11日発行)
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編集 :岸田浩和
取材 :岸田浩和、関優作
デザイン :九門 淳(有限会社セカンドリビングプロジェクツ)
スタッフ :本村彰英
表題写真 :岸田浩和
 
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