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東北まぐ4号 2011年11月

紅に色づく晩秋の東北。人々が希望を紡ぐ東北の今を伝える【東北まぐ!】

東北まぐ!
岩手県一関市
はじめに

 毎月11日に配信している「東北まぐ」、4号目を迎えることができました。
東北もそろそろ紅葉が見頃となります。震災を乗り越え懸命に復興に進む人々の力により、観光地も復旧へと進んでいます。東北各県、多くの人が観光に訪れるよう、旅人を待ち受けています。しかし、これから訪れる冬の寒さは、仮設住宅等に避難している方々に不安を与えます。美しい春が訪れる事を願って懸命に生きる人々、そして東北の“今”を知り、皆さんに旅をして頂く事を思いながら、「東北まぐ」最新号をお届け致します。

行ってきました!東北
行ってきました!東北
福島駅前に建つ 中合福島店
行ってきました!東北
中合福島店 菊田直樹さん

福島の老舗デパート
~未来への絆~

 福島県福島市。福島駅前に堂々とそびえるデパート「中合」。創業したのは天保元年。180年もの歴史を誇る老舗です。福島市民の誰からも愛される存在が、大震災を経験しました。営業本部リーダー・菊田直樹さんに話を聞くと、福島市は震度5強。体が飛ばされてしまいそうな強烈な揺れだったそうです。しかし中合の社員は迅速にお客様を迅速に避難させました。それには理由がありました。中合は毎月1回避難訓練をしています。訓練を行う日は毎月11日の開店前。月ごとに火災訓練と地震訓練を交互に行っており、2月は火災訓練でした。つまり3月11日の開店前に地震訓練を行っていたのです。当日起こった14時46分の地震には、けが人もなく迅速に対応できました。その後の放射能汚染には悩みます。しかし地元商業のリーダーは前向きです。「未来への絆」をスローガンに、様々な催事を行いました。月に1度の朝市の開き、商店街を盛り上げます。福島の物産展では川俣シャモと会津のあわまんじゅうが人気でした。菊田さんは言います。「福島のお米や野菜は今、大変厳重な検査を受けています。様々な検査をクリアしたものばかりです。安心して食べて欲しいです」と。福島の復興を願います。

Information
中合福島店はこちらをクリック
福島県 福島市 栄町 5番地1

漁師たちの安らぎの湯
「亀の湯」(気仙沼)

 気仙沼港の近くに、百年以上続く老舗の銭湯がありました。創業明治19年の「亀の湯」です。例年7月から12月は、カツオやサンマ漁で港が賑わう季節。水揚げとともにやってきた県外の漁師たちが、連日のようにこの銭湯を訪れるといいます。
 今年の3月11日、東日本大震災をうけ状況は一変しました。「正直、もう無理だと思った」と話すのはご主人の斉藤克之さん(70)。津波が直撃し、店内は瓦礫に埋め尽くされボイラーも破損。浴槽にもひびが入り、再開は厳しい状況です。4代続いた銭湯をたたむのかと思うと、悔しさがこみ上げてきたといいます。
 そんな中、大阪府池田市が災害用・仮設入浴設備の支援を申し出て、3ヶ月の期間限定で復活する事になりました。8月下旬、脱衣所のあった場所にテントを張り臨時の浴槽が設置され、亀の湯が「池田ふれあいの湯」としてOPENしました。
 我々が訪れたこの日、土間に置かれたパイプ椅子では、顔を赤らめた湯上がりの漁師さんたち談笑していました。女将さんのむいてくれたリンゴを頬張りながらくつろいでいます。「港についたらまず”亀の湯”で汗流すんですよ」と若い漁師さん。「女将さんの声を聞くと、帰ってきたなぁって、ホッとするんだよな」と先輩が続きます。
 現在の利用者は一日50~60人。津波被害の大きかったこの地区では、地元のお客さんが見込めず漁のシーズンが終われば集客は厳しくなります。ご主人に今後を尋ねると「池田市の支援も11月いっぱい。自主再建は難しいから、来年の事はわかんねぇなぁ」と一瞬寂しそうな表情に。やって来た客さんの姿を見つけると顔を上げ「まっ、今はお客さんが来てくれるから、毎日精一杯やるだけだよ!」と笑うご主人の姿がありました。
 失ったものを悲しむよりも、今日一日を過ごせた事に感謝し一歩づつ進む。この地で生き抜く人々の強く優しい息づかいが、町の復活を支えています。

行ってきました!東北
「現在は無料で入浴提供中です」と斉藤さん
行ってきました!東北
利用者の感謝の言葉が綴られたノートが置かれていた
行ってきました!東北
入浴にやってきた漁師さんと女将さん

Information
亀の湯
宮城県 気仙沼市 魚町 1丁目5番地3

行ってきました!東北
主催者の松本さんはじめ、スタッフは皆ボランティア
行ってきました!東北
「はいどーぞ」。地元中学生による縁日のひとコマ。
行ってきました!東北
ずっこけた綱引き選手に観客も大爆笑!

Information
いわて三陸 復興食堂はこちらをクリック

とり戻す仕組みを!
「復興食堂」(岩手県住田町)

 「いいぞ、もっと引けー」「耐えろー」綱を引く選手と見守る観客。“地域対抗綱引き”の会場となった住田町の生涯スポーツセンターには、地元を中心に約300人の来場者が詰めかけ、大きな歓声と笑顔に包まれていました。すがすがしい秋晴れの下、屋外には焼きそばや水餃子の屋台がならび、車座になって家族や仲間と談笑する人々の姿が見られます。この日、開かれていたのは「復興食堂」というイベント。被災した方が「日常にあった、ふれあいの場」を取り戻すことを目的に、東北出身のミュージシャン松本哲也さんと有志が立ち上げた“移動するお祭り”のプロジェクトです。5月以降、岩手沿岸の被災地を中心に各地を巡回。十数度目となる岩手県住田町では、地元の収穫祭との共催となりました。
 会場の隣にある小学校跡には、60数戸の仮設住宅が建ち並び、隣接する沿岸部からの被災者を受け入れています。「もともと暮らしていた地域をはなれ、仮設住宅のなかに閉じこもりがちな人が増えている。避難先の方との交流を促したかった」という副代表の下玉利さん。地元の中学生が、陸前高田から避難してきた小学生たちに「わたがし」を作ってあげる光景を見ながら「今、被災者が必要としているのは、支援地の人との交流や今後につながるアクションを一緒に取組む形。すなわち希望の共有なんです」と話してくれました。
 この日、陸前高田から水餃子の屋台を出店した「中華の熊谷」の熊谷成樹さん(42)も被災者の一人。店舗を跡形なく流され途方に暮れていたとき、以前のイベントで屋台を出店。おいしいねと喜んでくれるお客さんの姿を目にした事がきっかけで、「もう一度店をやる」と、店舗の再開を決意しました。
 いま被災地は冬にむかって進んでいますが、人々が紡ぐ希望は、すこしづつ芽吹き始めています。

東北で見つけた名物親父・看板娘

 石巻。夜になると真っ暗な町の中に連日満席のバーがあります。その名も「復興バー」。切り盛りしていたのは、石巻で生まれ育った松村豪太さん。松村さんは震災前はスポーツを通して地域振興をするNPOの職員でした。「どうしてまたバーをやろうと思ったんですか?」という質問に「べつに、元々スポーツがものすごく得意だったわけでもないんですよね」と淡々と語る松村さんですが、心の中には、市民の力で町の賑わいを取り戻したい、そのために自分にできることをしよう、という熱い思いがありました。当初は期間限定でオープンした復興バーですが、人びとの心のよりどころとして、営業を続けています。

Information
復興バーはこちらをクリック
宮城県 石巻市 中央 2番地
営業 20時頃~ 火曜定休
松村豪太さんブログはこちらをクリック

東北で見つけた名物親父・看板娘
NPO石巻スポーツ振興サポートセンター
クラブマネージャー/復興バーマスター
松村豪太さん
いま必要なもの
いま必要なもの
10月の週末には千人以上の参加がありました!

 陸前高田市・災害ボランティアセンターでは、現在も多くのボランティアを受け入れております。当センターには、被災住民より連日たくさんのニーズが寄せられており、最近は田畑を作付けするためのガレキ撤去の依頼が増えています。
 他地域のボランティアセンターには受け入れを縮小している場所もありますが、こちらは引き続き活動中。県内外を問わず個人の方から団体まで幅広く受け入れを行っており、1日からご参加頂けます。詳細はHPにて案内中。陸前高田の復興に向け、お力を貸してください。

Information
「陸前高田市 社会福祉協議会」はこちらをクリック
岩手県 陸前高田市 横田町 字狩集 96番地3

今月のお取り寄せ

 全国のご当地グルメの中から、No1を決める食の祭典『B-1グランプリ』。昨年の来場者が43万人を超えたこの大会、じつは青森県の「八戸せんべい汁研究所」(通称「汁゛研」じるけん)が、発案・企画したイベントでした。
 今回ご紹介するのは、この「汁゛研」と地元メーカー“味の加久の屋”が共同開発した“八戸せんべい汁”です。せんべい汁とは、青森県八戸市を中心に200年以上食べ継がれている郷土料理。野菜やきのこでダシを取った汁の中に、南部せんべいを割りいれ、煮込んで仕上げる汁料理です。おいしいダシ汁がしみ込んだせんべいのツルツル、モチモチした独特の食感が特徴。この商品は、本格派の液体スープと汁専用せんべいのほか、業界初の具入りレトルトが付いています。キャベツとネギを用意するだけで、本場の味が楽しめるのでお手軽。さっぱりした汁に香ばしいせんべいの香りがひき立ち、箸がとまりません。これからのさむい季節、鶏肉や豆腐を入れてお好みの“鍋”にアレンジしてみるのもおすすめです!

今月のお取り寄せ
定番のキャベツのほか、きのこ・鶏肉・豆腐を入れいただきました!
今月のお取り寄せ
B-1グランプリ三年連続シルバーグランプリ受賞の実力派。

Information
「“味の加久の屋”直営通販お取り寄せ」はこちらをクリック

【お知らせ】連載「復興へのみちのり~缶闘記~」は、今月はお休みします。
【東北まぐ!】 2011/11/11号 (毎月11日発行)
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編集長 寺坂直毅
取材 梅澤恵利子 岸田浩和
スタッフ 野瀬紗也佳

発行元 :株式会社まぐまぐ
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配送技術:株式会社アットウェア http://www.atware.co.jp/

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