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東北まぐ33号 2014年4月

廃校女子高の黒板に綴った思い、旅人が作る気仙沼シェアオフィス、田老のベビーハンモック、進み続けたた理由・すがとよ酒店、本場のずんだ。東北まぐ!【東北まぐ!】

2014/04/11 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
東北まぐ
宮城県気仙沼市
生徒の減少で、閉校する事が決まった気仙沼女子高等学校。感謝の言葉を黒板に書く卒業生の2人。
はじめに
 気仙沼の町を見下ろす高台に立つ、気仙沼女子高等学校。地域の人口減少や震災の影響で生徒が減り、この春で45年の歴史に幕を閉じました。教室では、最後の3年生たちが、黒板に思いおもいに感謝の言葉を書いていました。黒板を前に、なにを書こうかとじっと考えあぐねている二人の生徒。少しすると二人は目を合わせうなずきあったあと、力強くチョークを黒板に走らせ始めます。
 「お父さん、お母さん。産んでくれて、みんなと出会わせてくれてありがとう」

 どうしてこのメッセージにしたの?
 と理由を聞かれた2人は「震災とか色んな事があって。うーん、やっぱり、これが一番大事なことだと思って…」と少し照れくさそうに答えてくれました。
 彼女たち18名は、いま新しい場所でそれぞれの春を迎えています。新たな出会いが人々の希望となり、まちの力となります。
 一人でも多くの方が東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。東北まぐ、第33号をお届け致します。
(岸田浩和)
 
行ってきました東北
シェアオフィス&スペースco-ba kesennuma
開設プロジェクト(中編)
行ってきました東北
旅行先の気仙沼で、シェアオフィス開設に携わる事になった、浅野翼さん。
 
―シェアオフィス開設のねらい―
 復旧から再起へと向かう東北沿岸部のまち。震災直後から3年間、たくさんの“よそ者”が、ボランティアや復興の手助けとして現地を訪れ、、地元の人たちと力をあわせて来ました。
 愛知県出身の杉浦恵一さんも一人です。最初は、地元の飲食店を手伝う形で気仙沼に入り、多くのボランティアの受け入れ拠点として奔走してきました。3年を経た被災地では、ガレキの撤去や力仕事の需要は一段落したものの、人口流出や産業の空洞化が新たな問題として浮き彫りになっています。「外からの人材や資金を生かし、地元の方が活躍出来るような事業が生まれる事が理想」と考えた杉浦さん。アイデアを具体化するため社団法人を立ち上げ、キャンドル工房をスタートさせました。
 
―やろうと思った、いまがチャンス―
 こうした自身の経験を元に「一人の力では限界がある」と感じ、より多くの機会創出を願って、シェアオフィスの開設に着手しました。具体的なプランは無いものの「やってみたい!」と口に出すと、協力者やアイデアがどんどん自分の元へ集まって来て、引くに引けない状況になったと杉浦さんは笑います。当初は開設資金の目処はたっておらず、内装工事を業者に任せる余裕も無いため、完全な見切り発車計画をスタートしました。

―内装工事の人手がまったく無い―
 それが「全く不安はなかったんですよ」と杉浦さん。「これまでもそうでしたが、何かをはじめようと行動をおこすと、自ずと人が集まってくるんです」という言葉の通り、たまたま旅行で気仙沼にやって来た、浅野翼さんとの出会いが大きな展開をうみます。
 転職の合間を利用して旅に出ていた浅野さん。震災後の東北に足を運ぼうとするものの、仕事が忙しく叶わなかったため、3年越しの東北旅行がようやく実現し、気仙沼にやって来ました。
 街中で杉浦さんと出会った浅野さんは、お互いに県外出身で地元が近いこともありすぐさま意気投合。浅野さんが一級建築士の資格を持っているとわかり「その日のうちに物件を見てもらい、夜には手書きの内装図面を書いてもらってました」と話します。

―旅人が切り拓く―
 「いきなり、図面を書いて欲しいと言われて驚いたが、嬉しかった」と浅野さん。「ただ被災地を見るだけではなく、自分のスキルを生かして現地の取り組みに貢献出来た事はラッキーだった」と振り返ります。当然の流れで、浅野さんは内装工事が軌道に乗るまで気仙沼に逗留することになり、学生ボランティアや、お互いの交友関係、浅野さんと同じような旅人のスカウトと言った形で、協力者を募り、内装工事が進んでいきました。

―気仙沼で感じた“しごと”の意味―
 「この時代に生きる日本人として、被災地の事をこの目で見ておきたかった」という浅野さん。短い期間ながら、実際に現地の営みに触れた事で「予想外の発見がたくさんあった」といいます。自分の持つ経験を生かして、何かがカタチになり誰かに貢献出来るという体験は、「生きるとは、自らの生業を通して、多くの人たちと何かをつくり上げていく事なんだ」と気づいたそうです。「自分の仕事に、自信を持つきっかけになったし、もっと向上したいという目標も出来た。これからも引き続き東北とは関わって行くつもりです」 (岸田浩和)
 
行ってきました東北
全体の計画は杉浦さんが、内装作業は、一級建築士の浅野さんが中心となり、ボランティアを取りまとめた。
 
行ってきました東北
普段は図面引きが中心なので、現場作業は貴重な経験となった。
 
行ってきました東北
古くからあった飲食店の跡地が、シェアオフィスに生まれ変わる。
 
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Information
co-ba kesennumaプロジェクト
http://camp-fire.jp/projects/view/936
(紹介動画)

東北マップ
 
行ってきました東北
たろうベビーハンモック 赤沼秋子さん
行ってきました東北
愛をこめてハンモックを編む 赤沼秋子さん
 
 皆さんは「ベビーハンモック」をご存じでしょうか?ブランコのような、ゆりかごのような、ゆるやかな動きをする、赤ちゃん用のハンモックが「ベビーハンモック」。
 今、岩手県宮古市田老地区の仮設住宅で暮らす人や、自宅で生活を続ける人が集まり、「ベビーハンモック」作りが行われています。
 この「たろうベビーハンモック」。職人のおひとり、田老地区のグリーンピア三陸みやこ敷地内の仮設商店街「たろちゃんハウス」で、「善助屋食堂」を営みつつ、ハンモック作りに勤しむ主婦・赤沼秋子さんにお話をお伺いしました。
 
 この試みは、東京を拠点に活動されている、ヨガインストラクターの伊藤万菜美さんらが、震災後に田老地区で行ったハンモック作りの講習会から始まりました。指導のもと、田老の皆さんが集い、会話をしながら作るベビーハンモック作り。もともと手芸が好きだった赤沼さんは、すぐに興味が湧き、食堂のお仕事と並行しながら作業を始めました。
 しかも始めた頃は、赤沼さんのお孫さんが生まれる時期でした。
 「まずは、自分の孫のためのハンモックを作ろう」と思い、スタートしたのです。やがてホームページで受注を開始したところ、口コミで注文が殺到。

 日本はもちろん、海外からも発注がきました。
 販売するハンモックには、職人の皆さんのメッセージカードも添えています。そのメッセージには返信も送られます。

 若い大学生からのメッセージで、「教科書をを入れて通学しています」というメッセージもあったそうです。

 使用している人との出会いもあるそうです。赤沼さんが、盛岡のイベントで出店したときの事。

 訪れたお客さんの中に、偶然、赤沼さんが編んだハンモックを使っている方と出会いました。利用している人と職人の出会い。その事がわかった瞬間に、抱き合って泣きました。ベビーハンモック作りが、人と人との絆を生みました。

 もちろん、赤沼さんがいらっしゃる善助屋食堂を訪れて、感想を告げる利用者もいます。「たろうベビーハンモック」は、ホームページから受注可能です。
 職人さんのぬくもりが伝わるハンモック、皆さんも利用してみてはいかがでしょうか? (寺坂直毅)
 
行ってきました東北
やさしい色合いの ベビーハンモック
 
行ってきました東北
善助屋食堂にも、ハンモックが飾れれています
 
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名物「どんこ唐揚げ丼」が自慢の 善助屋食堂
 
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Information
たろうベビーハンモック
http://www.tarobabyhammock.com/

東北マップ
 
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「すがとよ酒店」再会編
行ってきました東北
「すがとよ酒店」次男の菅原英樹さん。新しくオープンした魚町店にて。
 
 2年ぶりにやって来た「すがとよ酒店」。前回訪れた、かもめ通り沿いの旧店舗は土地のかさ上げで入れなくなってしまいましたが、気仙沼港前に新たに「魚町店」がオープンしました。
 
 三代目おかみの文子さんは、目の前でご主人を津波にさらわれ、震災直後は悲嘆にくれていましたが、すがとよ酒店の看板を次の世代に受け継ごうと決心しこの三年間邁進し続けました。二男の菅原英樹さんは、「全国のみなさんからお声がけ頂いたことで、振り返る事なく笑顔で前進することが出来た」といいます。

 すがとよ酒店では、地元気仙沼の地酒「男山」と「両国」の2銘柄に、再起を掛けたおかみさんの決意を書に込めたオリジナル瓶の販売も行っています。 (岸田浩和)

東北マップ
 
行ってきました東北
地酒「両国」と「男山」を手にする、3代目女将の菅原文子さん(右)。
 
 
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Information
すがとよ酒店
住所:宮城県気仙沼市魚町1-5-14
電話番号:0226-22-0843
http://sugatoyo.com/
 
今月のお取り寄せ
 
今月のお取り寄せ


今月のお取り寄せ
  ゴチまぐ!編集部
イチオシの理由は?

 皆さんは“東北の名菓”というと何を思い浮かべるでしょうか。ゆべしや玉羊羹など有名な物はたくさんありますが、忘れていけないのが仙台名物・ずんだ餅です。

 ずんだ餅とは、すりつぶした枝豆を餡に用いた餅菓子のこと。地元では昔から愛されている非常にポピュラーな商品です。

 今回ご紹介するずんだ餅は宮城県仙台市に本社を置く人気メーカー、菓匠三全のもの。菓匠三全というと『萩の月』が有名ですが、ずんだ餅も負けず劣らず人気です。

 ということで編集部でも早速お取り寄せしてみました。

 まず、注目して欲しいのが美しい色合いでしょう。非常にキレイな緑色をしています。

 一口食べてみると感じるのはもっちりとしたお餅の食感と、小豆餡にはない枝豆独特の香ばしく爽やかな風味です。

 お餅には宮城県で取れる餅米「みやこがね」を使用。枝豆のつぶつぶとした食感とも相まり、後を引く美味しさがあります。

 餡はしっかりと甘いのですが、甘すぎず、絶妙な加減です。ほうじ茶などと一緒に食べたくなる逸品。ぜひ一度お試しください。
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お問い合わせ
・菓匠三全
http://www.shop.sanzen.co.jp/shop/c/c1010/
 
 
【東北まぐ】 2014/04/11号 (毎月11日発行)
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編集 岸田浩和
取材 :岸田浩和、寺坂直毅、関裕作
制作 :本村彰英
表題写真 :岸田浩和
 
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