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東北まぐ23号 2013年6月

町を支えるちいさな市場、あの頃高校生だった君に伝える東北・当日レポート、よそ者が町を変える、福島の柿ゼリーほか、全編レポートでお届け【東北まぐ!】

2013/06/11 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
東北まぐ
夏草が風に揺れる陸前高田駅とまち並み(岩手県・陸前高田市)
はじめに
 三陸の仮設住宅で出会ったおじさんが「ここは、日本の最先端だ!」と、話してくれました。震災によって加速した人口流出と雇用問題は、日本の地方が抱える共通のテーマ。 
 原発事故の影響も、東北だけの課題ではありません。これからの日本のあり方に直面する東北は、日本で最も進んでいる場所に違いありません。
 そこにいま、志ある人々と地元の人々が集い、誰も経験した事のないみらいを創るための試行錯誤が始まっています。
 みなさんが東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。東北まぐ23号をお送り致します。

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いま必要なもの
あの時高校生だった君に伝えたい東北・TYC3.11レポート
いま必要なもの
支援団体のPRタイムでは、各団体が特徴ある活動を紹介。いきおい良く登壇した「En」の主催者。
いま必要なもの
「支援団体の活動の場はまだまだある」「今後は、団体間の横の繋がりがキーポイント」と話すのは、主催者の佐藤柊平さん。

いま必要なもの
福島に恋をしよう!をスローガンに活動する学生団体「あいべ福島プロジェクト」のスタッフ3人。

いま必要なもの
当日は、200名以上の参加者が詰めかけた。

いま必要なもの
パネルディスカッションでマイクを持つSAVETAKATA代表理事の佐々木信秋さん(中央)と、ふくしま連携復興センター事務局長の鎌田千瑛美さん(右)、NPO法人底上げ代表理事の矢部寛明さん(左)。

Information
TYC3.11
HP:http://youthfor311.com/tyc-vol3/
   「10年後、東北沿岸の町にはピカピカの道路と新築のきれいな建物が建ち並んでいるでしょう。でも、そこに若者の姿はなくて、お年寄りの姿ばかりの奇妙な町になっているかもしれません。建物だけが修復され、中味が失われたまちです。これは私たちの求めていた復興の未来ではありません」東北沿岸部の抱える不安を代弁したSAVETAKATAの佐々木信秋さん。つづいて「このままでは良くないのはわかっています。じゃあ、若者が定着して暮らしていける魅力のある町にするためには、何が必要でしょうか」と問いかけた。会場を埋め尽くす学生たちが固唾をのむなか、佐々木さんは「いま必要な支援は、モノを一方的に与える支援ではなく、一緒に創っていくというかかわり方ではないか」と、一つの考えを参加者に示した。

 この日、東京の明治大学では、これから携わる東北をテーマに「東京ユースカンファレンス3.11」が開催され、東北の被災地支援に関心を持つ大学生200名が全国から詰めかけた。当日は、今年大学1年生になったという参加者が多く、震災当時は高校生だった彼らの思いは、「東北に関心はあったが、当時は何もできずモヤモヤしていた」「完全に人ごとに思っていたが、今になって行けば良かったと思いはじめた」といった声にあらわれていた。

 続く、支援団体のPRセッションでは、現在も東北支援の活動を続ける15の学生団体が登壇し、それぞれのユニークな活動を紹介した。被災地のお母さんたちの手仕事よる商品を企画し全国に紹介している学生団体SKCの大西菜月さんは「力仕事じゃなくても、女の子の感性を生かして支援につなげることが出来る」と自身のボランティア経験から産まれた現在の活動を紹介。ほかにも宮城県北東端の唐桑地区の若者と一緒に地域おこしを展開する団体「からくわ丸」、被災地に参考書を送る活動や、関東に避難して来た被災地の受験生たちに学習支援を行うグループなど、様々な活動が紹介された。続いて行われた交流セッションでは、参加者が数名のグループにわかれ、各団体の主催者と膝を突き合わせた交流を図るなど、会場は熱気に包まれた。

 パネルディスカッションの最後の質疑では、「ようやく受験も終わって自由に東北にも行けるようになった。でも、自分が情熱を持って活動に取り組めるのか正直不安に思う。果たしてどれほど役に立てるのか自信もないし、結局二の足を踏んでしまう」と言う参加者の声があがった。

 パネリストの佐々木さんは、「与えつづけるだけの支援は続かないのは当たり前。取り組む方にも何らかのメリットがあって当然だと思う。仲間を見つけるとか、将来のキャリアに繋がるとか、最終的に現地で起業するぞ!とか、何らかの目標を持って取り組んでみてはどうか」と答え、「この時代に生きる日本人として、東北沿岸のいまを知っていてほしい。とにかく1回足を動かして、自分が活動出来る場所や内容を探してみてほしい」とエールを送った。(岸田浩和)

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東北だより
~ヨソモノがまちを変える~
東北だより
 
 石巻経済新聞の公式Facebookページで、「いいね!」数が950を超えた5月度の記事があります。石巻のアイトピア通り商店街に開店した日本料理店「四季彩食 いまむら」と、オーナーの今村さんを紹介する記事です。2011年の震災当時は、銀座の割烹で働いていた今村さん。震災を機にオン・ザ・ロードというNPOで復興支援活動を始め、「店舗再生班」としてまちなかの商店や飲食店を何十軒と改修してきました。ボランティア団体を退団した後も石巻に残り、「手作り市nomaki」という月1回のイベントも主催しています。そういった活動の中で石巻の人々との信頼関係を深めていき、ついには自分のお店を商店街の一角に開きました。今村さんの人柄ももちろんですが、「ヨソモノ」として街に入りながら、そこに根を張りチャレンジしていく姿に共感を覚えた方が多かったのではないでしょうか。

 
 田中鉄太郎さんの「FUNADEスタジオ」も、大きな反響を読んだ記事でした。田中さんもオン・ザ・ロード出身で、今村さんと同じように石巻に残った一人です。田中さんはボランティア活動の中で、港町の大漁旗と出会い、それを加工したバッグやアパレルのブランドを立ち上げます。それらの製品を作る工房兼ショップが「FUNADEスタジオ」です。もともと京都でアパレルブランドをやっていた田中さん。ここも、「いまむら」同様、オン・ザ・ロード出身者などの仲間たちがDIYでつくりあげた、凝りに凝った内装が誇らしげです。

 ヨソモノという視点でもう一人。オーストラリア人のアーティスト、リチャード・バイヤースさんがアイトピア通りの日和アートセンターで滞在型の個展を1カ月間開催しました。バイヤーズさんも、1年以上前に別のアートプロジェクトで石巻を訪れて以来、この街の人と丁寧なコミュニケーションを重ねてきた一人です。石巻愛にあふれた展示に、何度も足を運んだお客さんが多かったそうです。

 石巻の食材や文化、素材、風景など「ヨソモノ」だから再発見できる価値がまだまだ眠っています。石巻を訪れたときは、ぜひ彼らのお店や作品を訪ねてみてください。
 
東北だより
石巻に大漁旗を使ったハンドメード雑貨・洋服店「FUNADEスタジオ」
 
東北だより
石巻で豪アーティストの個展「光とつくる」・馬っこ山から撮った写真も
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Information
石巻に日本料理店・元ボランティアが料理人として再出発
http://ishinomaki.keizai.biz/headline/200/
 
東北で見つけた看板娘
~プロショップまるか・佐々木和子さん(宮城県石巻市)~
東北で見つけた看板娘
店頭に立つ佐々木さん。季節の鮮魚やおいしい食べ方を質問すると、気軽におしえてくれる。
 
東北で見つけた名物親父
店内には飲食スペースも併設。お昼時はランチ目当てのお客で賑わう。写真は、ボリューム満点のさしみ定食(¥630)とミンク鯨、たこのカルパッチョサラダ。


東北で見つけた名物親父
まるか中央鮮魚と、寿司と割烹にすき焼き、中華など4つの専門店が石巻名店街として軒を連ねる。


東北で見つけた名物親父
震災前と変わらぬ外観。


   旧北上川沿いの商店街アイトピア通りを日和山の方向に進むと左手に「プロショップまるか」と書かれたおおきな看板がみえてきます。入り口の引き戸を開けると、そこには昔ながらの活気ある市場の光景が広がっていました。

 今夜のおかずに魚を買いに来た地元のお母さんや、魚の仕入れにやって来た飲食店主、お土産を選ぶ県外からの観光客の姿もみえます。店舗の中央にはテーブルが並んだイートインスペースになっており、さしみ弁当を前におおきな毛ガニの入ったみそ汁をいただくお客さんの姿がうかがえます。奥の鮮魚コーナーでは、ひと際元気に動き回っている女性の姿がみえます。カツオの入ったトロ箱2つを前に悩むお客さんに「こっちの方がいいんじゃないの」と笑顔で答えるまるか中央水産のおかみ、佐々木和子さんです。

 老舗水産会社の長女として石巻で育った佐々木和子さん。石巻魚市場の買受人であるご主人の佐々木正彦さんとともに、地元の寿司屋や割烹向けに鮮魚を卸す「まるか中央水産」を営んでいました。

 震災後は、津波の水が引いたあとも家屋の残骸に覆われていたプロショップまるかでしたが、震災から2ヶ月半で営業再開。店舗を失くして営業出来なくなっていた馴染みの飲食店4店舗、お寿司の「寳来寿司」、割烹「滝川」、中国料理の「楼蘭」「すき焼きの石川」にスペースを間貸しする形で、プロショップまるか内に「石巻名店街」がスタートします。「当時は、この辺りの飲食店もほとんど開いてない時期だったでしょ。とにかくご飯食べてもらう場所をと思ってね」と振り返る和子さん。いまでは随分と灯りを取り戻した石巻ですが、まちはまだ復旧から復興へと変わる途上にあります。

 「遊びに来た際は、いつでも立ち寄ってほしい」と和子さん。まちの変化を確かめに、懐かしい人たちに会うために、そしておいしい魚を食べに。まちを支える小さな市場を訪れてみてはいかがでしょうか。(岸田浩和)

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Information
プロショップまるか
http://www.ishinomaki-maruka.com/
鮮魚通販
http://store.shopping.yahoo.co.jp/otr-ishinomaki/p01-001.html
電 話:0225-93-9200
住 所:宮城県石巻市中央1-11-7
営 業:9:00~18:00 定休日:日曜・祝日
 
今月のお取り寄せ
今回は福島県、会津地方の特産品、「身知らず柿」を使ったゼリーをご紹介します。
この「身知らず柿」は元々が渋柿。枝に折れんばかりにたわわに実をつけることや、あまりの美味しさに我が身をも考えずに食べ過ぎてしまうことからそう名づけられたと言われています。

今回紹介するゼリーはこの「身知らず柿」の渋みを抜き、裏ごしし使っています。冷蔵庫で十分に冷やしてから試食してみました。

空けただけで非常に爽やかなみずみずしいフルーツの香りが感じられますね。一口食べてみると、柿特有のトロッとした甘みを感じられます。しかし、甘過ぎるということもなく、食後のデザートにも合いそうな印象。

ゼリーとしては固めの食感ですが口の中ではスッと崩れていく感覚が面白いですね。甘い物があまり得意ではない方でも美味しく頂けそうなゼリー。是非一度お試しください。
 
今月のお取り寄せ
ゼリーとしては固めの食感。熟れた柿特有の甘みを感じられます。

  今月のお取り寄せ
パッケージも素朴でかわいらしい。贈り物にも良いだろう。
会津身知らず(6個入り) 1600円

   
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Information  ご注文はこちら↓
お菓子の蔵 太郎庵
http://www.taroan.co.jp/
 
 
【東北まぐ】 2013/06/11号 (毎月11日発行)
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編集 :岸田浩和 関裕作
デザイン :千葉光範(JLDS)
スタッフ :野瀬紗也佳
表題写真 :岸田浩和
 
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