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東北まぐ36号 2014年7月

バスケットボールが教えてくれること!栗原祐太選手(東京サンレーヴス)「バスケクリニック」、福島県浜通りに1000年続く「野馬追」を伝えた写真展、その土地の魅力を発見する「第1回ウルトラシャルソン」開催決定、カモメの玉子ミニ【東北まぐ】

2014/07/11 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
東北まぐ
シュート/気仙沼市立津屋中学校の体育館で行われた、「東京サンレーヴス」栗原祐太選手のバスケクリニックにて
(撮影/岸田浩和)
はじめに
 東北沿岸が震災後4回目の夏を迎えます。港には、今年もカツオが揚がりはじめました。にわかに活気づく港の雰囲気が町にも伝播し、心なしか笑顔が増えたように感じる初夏の訪れ。毎年繰り返される季節の周回のなかに、刻一刻と姿を変える町の変化を見つけて前進を感じます。

 おいしい旬の食材と、過ごしやすい夏の日差しが皆さんをお待ちしています。二度と無い“いま”を見に、東北に行ってみませんか?みなさんが、東北に足を運ぶきっかけとなることを願って「東北まぐ」36号をお届けします。
(岸田浩和)
 
行ってきました東北
バスケットボールが教えてくれること!
栗原祐太選手(東京サンレーヴス)「バスケクリニック」
行ってきました東北
2日間にわたる栗原選手のバスケクリニックに、宮城県沿岸の小学生、中学生、高校生ら200人以上が参加した。
 
 雨雲のあいだから時折日がさす蒸し暑い休日の朝、ボールが床をうつリズミカルな音と、明るい歓声が校庭の奥から聞こえてきました。ここは、宮城県気仙沼市にある津谷中学の体育館です。館内には、地元の他、志津川、気仙沼、松島から集まった中高生100人以上が、バスケットボールで汗を流しています。

 生徒らの輪の中心に、精悍な面持ちで声を張りあげ、手振りを交えて指導している選手の姿が見えます。bjリーグ「東京サンレーヴス」所属の栗原祐太選手です。栗原選手がプロ選手を目指したのは、小学生のときにビデオで観たアメリカのプロリーグ・NBAの試合がきっかけでした。世界最高峰のバスケットに魅了された栗原選手は、いつしか自分もそこに立ちたいと考えるようになりました。
 
 小柄な体格で、有名校出身でもなく、目立った成績を残したわけでもありませんでしたが、「自分は必ずアメリカのプロリーグでプレーするんだ」と周囲に宣言し、大学卒業後に単身渡米します。経歴もなく、体格やパワーではアメリカ人選手に全く歯が立たなかったものの、自分の持ち味を見極めスピードを活かしたプレーに磨きをかけることで、活路を見出します。紆余曲折を経て、アメリカの独立リーグでプロ契約をつかみとり、憧れのプロ選手として第一歩を踏み出しました。南米のプロリーグでも活躍し、2010年より日本のbjリーグに参戦しています。

 そんな栗原選手が、ここ気仙沼に足を運んだのは、気仙沼で学生にバスケットを指導する、菅原晃一郎さんとの出会いがきっかけでした。「ぜひ、東北沿岸の子どもたちにバスケを教えてほしい」という菅原さんの言葉に、栗原選手は気仙沼行きを即答します。自身でスポンサーを集めて資金を募り、多くの支援者の後押しを受け、仲間のプロ選手とともに気仙沼にやってきました。

 「大変な思いを経験した子どもたちだからこそ、夢や思いをあきらめずに頑張ってほしい」と願う栗原選手は、2日間のバスケクリニックとともに、自身の経験を元にした講演を行いました。「いまは何もなくても、強い思いと努力があれば必ず道は開ける」という内容に、地元の男子中学生は「僕でも練習すれば出来ると、自信がわいた」と話し、気仙沼の女子高生は「今日教えてもらったことを、早く試合いで試したい」と、目を輝かせていました。初日の小学生向けクリニックに参加していた児童が、中高生向けのクリニックにもボールを持って現れ、体育館の隅から栗原選手の姿を目に焼き付けるように、ずっと見つめています。

 生徒たちの真剣なプレーの様子や、栗原選手の言葉に必死で耳を傾ける表情をみるうちに、エールを送るはずの栗原選手が最後には感極まって、涙声になっていました。

 今回のクリニックを企画した菅原さんは、「一つのことに打ち込む経験をした子どもたちは精神的にも強い。震災後、体育館が避難所になって練習できなくなった時期も、『また、みんなと練習したり試合に出たい』という思いが糧となって、子どもたちは前向きに頑張っていた」と話します。

 菅原さんは、「バスケット選手が現役として活躍できる時間は限られています。でも、選手として経験したことは、一生その人の支えとなる。つらくても努力した分だけ、結果がついてくるという成功体験は、困難に立ち向かう時の原動力になるはずです」と確信しています。

 「震災の時に、家族や友人を亡くした生徒も居ます」と菅原さん。「でも、大切なのはこれから自分たちがどう生きるのか。そういう仲間を前にした時、どう振る舞うかという選択です。今日の栗原選手の言葉や一挙手一投足にそういうヒントがたくさんありました。大丈夫、子供たちには、バスケットがありますから。」 (取材・執筆:岸田浩和)
 
行ってきました東北
東京サンレーヴス所属の栗原祐太選手
 
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小学生たちも
 
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栗原選手の講演に、中高生たちが拍手を送った。
 
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プロ選手のドリブルを手本に、懸命に練習する地元の小学生。
 
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クリニックを企画した菅原晃一郎さん(右)は、地元でバスケの指導を行っている。栗原選手(真ん中)のチームメイト・師玉祐一選手(左)も駆けつけた。
 
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Information
●プロバスケットボール選手・栗原祐太オフィシャルページ
http://www.yutakuri.com
●栗原祐太オフィシャルブログ
http://blog.goo.ne.jp/yuta_kuri
 
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福島県浜通りに1000年続く「野馬追」を伝えた写真展
行ってきました東北
ロンドンでジャーナリズムと写真を学んだ高杉さん。福島で長期取材を行い、今回の作品を発表した。野馬追の「侍」たちと長い時間を過ごしながら、撮影を行った。
 
 夏が来ると思い出す、東北の祭りがあります。福島県の浜通地方に古くから伝わる神事、「相馬野馬追(そうまのまおい)」です。現在、東京新宿のコニカミノルタ”フォトプレミオ”で、「野馬追」を題材にした写真展が開かれています。写真家の高杉記子さんが、長期にわたって現地取材を行ったドキュメンタリー写真で、野馬追の主役である「侍」たちの生き様を伝えたポートレート約30点が展示されています。
 
 高杉さんは「野馬追があるから震災を乗り越えることが出来た」「野馬追に出るために、相馬に戻ってきた」という侍たちの言葉に興味を抱き、「野馬追」とともに生きる彼らの様子を取材しました。高杉さんは、何度も福島に足を運んで侍たちと交流を続け、一人一人のストーリーを聞きながら、それぞれの方の大切な場所でポートレートを撮影しました。

 壊れた自宅の軒先で、衣装をまとう「侍」や、神社の境内ではじめての参加に緊張した表情を浮かべる少年の侍、馬が心配で避難先から戻ってきたという少女の侍が、カメラを見つめています。津波で自宅を失った人、原発事故で自宅に帰れなくなった人のほか、事故を起こした福島第一原発で働く職員もまた、侍として「野馬追」に参加し、「野馬追」で繋がっています。

 「単なる震災のレポートではなく自、そこに生きる人たちの生き様を、野馬追を通じて描きたかった」と話す高杉さん。

 ギャラリーに立ち30人の「侍」を前にすると、大切な物を持つ人の強さ、不器用さの裏にあるもろさ、そして「この土地に生きること」を選択したひとたちの覚悟と優しさなど、様々な思いが押し寄せてきました。

 一言では語ることの出来ない「震災以降」という時代の生き方を知るきっかけがここにあるかもしれません。高杉さんの作品を通して「侍」の生き様を感じてほしいと思います。 (取材/岸田浩和)
 
行ってきました東北
会場には、30名の侍たちのポートレートとが並ぶ。一人一人のバックストーリーを記したキャプションも必見。
 
行ってきました東北
写真の美咲さん(15)は、放射能の影響があるからと避難したものの、馬を残してきていたのですぐに帰った。2011年の野馬追は、震災後で開催が危ぶまれたものの、彼女をはじめ80騎の参加があり、1000年の歴史を未来に繋いだ。

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Information
●写真展「朝日にゝほふ山桜花 -Fukushima Samurai-」高杉記子
東京都新宿区新宿3-26-11
新宿高野ビル4F「コニカミノルタプラザ」
開催期間:~7月14日(月)まで
時間:10:30~19:00(最終日は15時まで)
http://bit.ly/1lWnk9i

●写真家・高杉記子
http://www.norikotakasugi.com
 
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その土地の魅力を発見する「第1回ウルトラシャルソン」開催決定
行ってきました東北
ウルトラシャルソンの企画と運営を行う佐谷恭さん
 
 来たる8月24日から30日の7日間、岩手県釜石市をスタート地点に宮城県石巻市を目指す、総延長200km超のマラソン大会が開催されます。「ウルトラ・シャルソン」と名付けられたこの企画は、走ることを通じて地域を再発見し、人と人とがつながるランニングイベント「ソーシャルマラソン(略称シャルソン)」の仕組みを使った大会です。

 釜石から石巻の間を5区間にわけ、ランナーは1日1区間づつ走ります。シャルソンには、タイムを競わず、走るコースや距離もランナーが自由に決めてよいとする一風変わったルールがあります。

 このプロジェクトを進める佐谷恭さんは、2012年2月に東京都経堂で開かれた全国初の“ソーシャルマラソン”を立ち上げた創始者で、昨秋に開催された「牡鹿シャルソン(宮城県石巻市・女川町)」や、全国各地で開催されている”ご当地シャルソン”の運営にも携わっています。
 
 佐谷さんは「ウルトラシャルソン開催を震災後3年を経た東北沿岸の“いま”を体感することがねらい」だと話します。特定の場所を点で訪れるのではなく、沿岸部を線で繋ぐことで見えてくる光景があるのではないかと考えています。

 県外のみならず地元からの参加ランナーも募集しており、地元区間だけを走る部分参加も可能です。また、ボランティアとして大会の運営を支えてくれるメンバーや、コースとなる地域でランナーとの交流を積極的に進めてくださる地元の方も広く募集しているそう。ランナーが各区間をゴールした後は、地元の方の講演や、ランナーと地元の方が交流する機会が多数設けられており、大会に関わるすべての人が交流出来るように趣向が凝らされています。

 「震災復興の後押し」という目的だけでなく、「東北沿岸の地域が持つその土地の魅力や文化、人的な資源を再発見するきっかけに出来れば嬉しい」という佐谷さんは「ランナー自身の驚きや体験を通して”東北のいま”を発信することで、いままで届かなかった人にも東北の魅力が伝わるはずだ」と考えます。「走るスピードだからこそ見える光景や、3年後のいまだからこそ体験できる物事にこそシャルソン開催の意味があるんじゃないでしょうか」と佐谷さん。

佐谷さんは、「走ることが苦手でも参加できるのが、ソーシャルマラソンの良い所。一人でも多くのランナーが東北の地を訪れ土地の高低や風の匂い、足下の砂利の感触を確かめながら、それぞれが感じるその土地の物語を、伝えてほしい」と話します。(取材/岸田浩和)
 
行ってきました東北
昨年開かれた「牡鹿シャルソン」(石巻市)の様子。参加ランナーが鮎川浜であなごの掴み取りを体験する様子。

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Information
●ウルトラシャルソン公式サイト
http://ultra.cialthon.at/tohoku/

≫参加申し込み
http://ultra-cialthon-2014.peatix.com

東北マップ
 
今月のお取り寄せ
 
今月のお取り寄せ
三陸の海をイメージさせる涼しげなパッケージ。

今月のお取り寄せ
外側にはホワイトチョコをコーティング。内側にカステラ生地で黄味餡を包んでいます。
  ゴチまぐ!編集部
イチオシの理由は?

 東北岩手を代表する名菓と言えば忘れてはならないのが「かもめの玉子」でしょう。ということで今回はこの「かもめの玉子」のミニサイズをお取り寄せしてみました。

 ミニと言っても違うのはサイズだけ。真ん中に入っているほっくりとした黄味餡の優しい甘さや、黄味餡を包むしっとりとしたカステラ生地とホワイトチョコのホロホロとした口の中で溶けていくような感じはそのままです。

 また、ミニサイズということで1個あたりのカロリーが通常155.8kcalのところ85.8kcalと控えめなのも嬉しいところ。これならばダイエットを気にしている方でも食べやすいのではないでしょうか。

 お茶請けとしてはもちろん、贈答品やちょっと小腹が空いたときなどにも最適。ぜひ一度お取り寄せしてみてください。
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●さいとう製菓株式会社
http://www.saitoseika.co.jp/
 
 
【東北まぐ】 2014/07/11号 (毎月11日発行)
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編集 岸田浩和
取材 :岸田浩和
制作 :本村彰英
表題写真 :岸田浩和
 
発行元 株式会社まぐまぐ
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